オススメ度★3つ その4
「献花」阿部光子著
社会事業家として名のある生活の裏面には、その生活を支えている家族あるいは信者の奉仕あるいは犠牲はつきもののようです。
「わたし」はそういう生活を何十年も続けて、今になって、夫の嘘の生活を恨みもしたが、一方では、その生活を虚偽をも含めて肯定もしているのです。
「死者となった夫に騙されたことは、別のエネルギー源となってわたしを立たせるのではないだろうかと気がついた」というあたりに、この一連の作品の主眼があるように思われます。
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「献花」阿部光子著
社会事業家として名のある生活の裏面には、その生活を支えている家族あるいは信者の奉仕あるいは犠牲はつきもののようです。
「わたし」はそういう生活を何十年も続けて、今になって、夫の嘘の生活を恨みもしたが、一方では、その生活を虚偽をも含めて肯定もしているのです。
「死者となった夫に騙されたことは、別のエネルギー源となってわたしを立たせるのではないだろうかと気がついた」というあたりに、この一連の作品の主眼があるように思われます。
「大連港で」清岡卓行著
清岡卓行氏は生まれ故郷の大連を三十四年ぶりに訪れた。
それは四泊五日の短かい旅であったが、その時の経験を執拗に追求して、幾つかの作品を書いてきた。
本書は、自由な連想の形式が、字義通りにのびのびと展開されていて、実に愉しい読み物となっています。
大連の歴史について文中に簡略に記してある部分を引用してみよう。
「大連とその付近に急激で異常な変化が生じるのは、清の時代の十九世紀後半からです。英仏連合軍の上陸。日清戦争。それに勝った日本による遼東半島の領有。三国干渉にもとつく清へのその返還。帝政ロシアによる関東州の租借とダーリニ建設の着手。
日露戦争。それに勝った日本による関東州の租借とダーリニの後身としての大連の継続的な建設。この日本統治時代に清が亡び、中華民国が興った。第二次大戦における日本の敗北。ソ連軍の大連への一時期の進駐。新しく成立した中華人民共和国による統治。」
大連を「だいれん」と読むか「たいれん」と読むか、思い悩む章は、読者として実に愉快な文章です。
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